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 家は、人生で最大の買い物といわれます。これから、家を建てたり改修しようと考えている貴方は、大切なポイントを見失わないように計画することです。それでは、どのように考え、計画し、実現していったらよいのでしょう。
 ここでは、我々NPOが計画から実現まで5年余の歳月をかけて会員の手作りで完成した、化石燃料ゼロハウス「風の学舎」の建築体験から得た知識と反省も踏まえ、計画している貴方に健康と環境に良い家を建てるためのノウハウをお伝えしようと開設したページです。もちろん専門の研究者ではありませんから、あくまでも我々の経験と知識の範囲内でのアドバイスということを前提にしてください。また、公共交通機関、医療福祉施設などが近隣にある等の社会的環境要因は考慮せずに、あくまでも自然環境的なアプローチで記述しています。しかし、まずこれが基本です。 
結論から言えば、
人の暮らしと自然、人の暮らしと歴文化を学びどんな家にすべきか方針を決める。 地域資源の理解と建築技法に長けた 建築士に設計監理を依頼 地域資源の理解と建築技法に長けた 建築士に設計監理を依頼
 こうは書いたものの、こんな風に3拍子揃うということはまずありません。また、それなりの人に頼めば設計費も建築費も跳ね上がります。やはり基本は、まず施主「建てる人」自身が地域のことを良く学ぶということです。次に施主の希望や考え方に理解ある設計士に相談することです。チラシや新聞などを見て直ぐに新築家屋の見学会に出かける人がいますが、もうこれが間違い。建物のイメージから入ってしまいます。まず、立地の選択から。以下は、土地の選択から家を建てるまでに良く施主自身が考えておくべきおくことを整理してみました。
 
 
 

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健康と環境に良い家を建てたい人のために
良い家は、地場の木材と漆喰で建てる〜

他の地方でも基本的な視点は参考になると思いますが、このページのアドバイスは長野県南部地方の気象条件を前提に記述しています。

どの家々も、木組みが美しい表情を形作っています。品格と機能を備えています。木は柱になっても呼吸していますから、壁の中に隠すのではなくて外に出してやらないと。
 京や奈良の寺院建築を見てください。何百年と風雨にさらされても持ちこたえています。

1どこに土地を求めるか。      (結論)

歴史に学べ!!
何代にも亘って受け継がれている民家の近く(同じ地盤)に建てる。
 第一に、地域の気候や自然はどんな特徴があるのか。過去の災害履歴は。農林業が主の時代の土地利用のされ方は。特に水利と飲料水の確保がどのようにされていたか。近くの河川の状況は。古い家の樹木の種類や植え方、その建築素材、エネルギーや水の確保はどのようか。自治体の図書館等で歴史を調べてみることです。また、郷土史家や地域の生き字引といわれる高齢者から話を聞いてみることです。その地域がどのようなところであったか、自然や暮らしについて真によく存じています。
 ところで、何代にも亘って住み継がれてきた民家の土地や環境は、幾多の災害(地震、風水害等)に対しても安定していることを証明しています。
 また、自立した暮らしを営むためには、何を置いても飲み水の確保が最も大切で、そのような家には縦井戸又は横井戸があります。地下水脈に近いところに立地がされています。また、川から田畑への水の確保もなされています。
 最近造成されたところは地盤環境をよく調べる必要があります。特に埋め立て地、過去の川の氾濫原や土砂災害地域などは、避けるべきです。
2基本的な視点から 民家から学べ  日本の国土は大部分温帯気候帯に位置し、四季がはっきりしています。島国であり、大陸と海洋との間に吹く季節風の影響が強くあらわれます。
 北海道や東北を除く、関東から以南の地域では、夏から秋にかけて梅雨と台風による降水量が多く、湿度が高い状態が続きます。
 住まいは「夏を旨とすべし」とは、吉田兼好が徒然草の中で説いているところですが、冷涼な地域を除き、夏の暑さと湿気対策をまず考えることが、健康な住まいづくりや住宅を長持ちさせることにつながります。
 家で最も大切なのが基礎と屋根です。雨や風から家を守るためには、まず、庇を大きく取ることが肝心です。壁が雨に晒されると家は傷みやすくなります。また、夏の暑さを防ぐことにもつながります。伝統的な民家の庇をよく見てください。夏の日差しと冬の日差しの長さを考慮し、庇の勾配や長さが決められています。最近の建て売り住宅の庇の短いこと・・・、安上がりとなるわけですが、壁に常時雨が当たれば、家は1世代持ちません。
 家の向きは、その地域の風の通り道が考慮されています。夏に、窓を開け放てば、玄関から家の中を後方に風が通りすぎていくような間取りと配置になっています。
 次に樹木の効用を最大限活かしています。
南側には、松や一部の常緑低木の他は落葉樹が中心に配置され、北側には防風のために竹藪や常緑高木が植栽されています。特に冬の北風は家を傷めやすいからです。砺波平野の散居村を観てください。
 冷暖房機の購入だという前に、樹木の配置により暑さ寒さを緩和するということが大切です。最もお金のかからない方法です。夏には木陰ができ、冬には落葉で日差しが入るという落葉樹木の特性を活用しなければ損ですね。そこで四季の変化が美しい在来の樹木を選択すれば、生活に潤いが広がります。落ち葉は、家庭菜園などの肥料や薪風呂の焚き付けになります。
3暮らす人間側の分別と適応 断熱工法と冷暖房機に頼りすぎは、不健康の元  断熱効果を高めて1年中湿度や温度が変化しない家を造ろうとする傾向がますます強いですが、全くおかしなことです。特に若い人は自ら体を虚弱にするようなものです。
 人間は、五感を備えた動物です。気温の変化を受けるということは五感の発達にとても大切なことです。変化のない環境ばかりにいて暑さ寒さに耐える適応能力を失ってしまうことの方がよほど大きな損失です。(病人や高齢者は別に配慮するのは当然です。)変化のない環境で暮らし続けたら生き物はどうなるのでしょうか。
 暑さや寒さに対応し、人間も運動の他、衣服や布団等で調節するということが健全な肉体を保ち、エネルギーを無駄にしない・・・環境を守るための基本です。
 そしてやむを得ない場合に、冷暖房設備に頼るということでしょう。
 その場合、例えばただ暖をとるために石油ストーブやエアコンを使用するのは、エネルギーの使い方としては全く持ってもったいないといえます。暖をとるために動力や光としても使用できる高級なエネルギーを使用するのですから。まずは、薪ストーブや堀炬燵でしょう。
 人も眠くなると脳の働きを弱め血流が末端にまわり足や手先が暖かくなってきます。眠る前に足先でも暖めておけば、本来は暖房器具なしで布団のみで眠られるようにできています
古代からのDNAは伝わっているはず。
4土や緑と縁を切るな 周りに土があってこそ家族健康で、経済性も確保できる
 地方の美しい景観形成と情緒豊かな人格形成にも欠かせない。
 周りを全てコンクリートで固めている家をときどき見ます。そんな家に限って新建材の固まりのような家です。草が生えたり雨天にはぬかるんで困ると言うことなのでしょうか。草取りをするという労力には替えられない、大きな効用があるということを忘れています。特に小さな子供がいる家では。樹木については2.で述べました。土に触れることで人は知らず知らずのうちに肉体的にも精神的にも成長するのです。例えば、鬱などの心的ダメージを受けている人たちが農作業をやることで、精神的安定が回復することはよく知られています。また、子供達も土に触れることでたくましく健康的に育つのです。
 生ゴミを処分するのにも土があれば容易です。わざわざヒーター付きの分解処理機を購入することもありません。落ち葉は、この生ゴミの分解にも役立ちます。家の周囲の温度も土や緑があることで数度は違います。

 また、玄関や周囲に花や緑を植えてご覧なさい。キャンパスに絵を描くように植え方を工夫すれば、家族だけでなく訪れる人も笑顔が絶えません。
 そんな家の持ち主の良き心は周囲に伝播し、地域を美しく大切にするという取り組みの輪が広がっていくでしょう。欧州を旅すると地方のどこの街でも家々に花や緑が植えられています。レストランなんか花で埋め尽くされています。

 ここで現代人は基本的なことを忘れてしまっているので少し蘊蓄を垂れます。良き子供は良き家庭に育つと云われます。この家庭は英語でhomeといいます。家はhouse、庭はgardenです。家庭は、その表記の通り「家+庭」が一体のものなのです。土や緑がなければ家庭ではありません。大都会の公園に家を失った人達が野宿しています。これを高層マンションから見下ろして、ホームレス(homeless)は・・・と哀れんでも、彼らには庭があるのです。一方、コンクリートのみで囲まれたマンションは家庭なのでしょうか。家はありますが・・・そう、同じホームレスなのです。昔の人は、健康な子供が育つためには、何が必用なのかと云うことを実に良く理解して、この字を充てたのだと思います。
 子供のアレルギーが増加している原因の1つに、土や緑に触れない暮らしが指摘されています。余りにも清潔さを求め過ぎると、環境はますます無機質化され有益な微生物も滅ぼされていき、結局は人間自らも衰退していくのです。人間もどんな衣服をまとっても所詮生物です。適度に汚れた環境、それは微生物等と共生していくということに他ならないのです。

 また、コンクリートやプラスチックばかりの住居やまちに暮らすと、精神的にも大きな影響があると、20年以上も前に「人間動物園」を著した動物行動学者D.モリスは警鐘を鳴らしています最近の殺人事件の動機を知るにつけ、何か人間の根底にある精神までも蝕ばまれている様な気がするのは私だけでしょうか。
5自然エネルギーを最大限活用する エネルギーは石油と電気だけじゃない
太陽エネルギーの変換効率が最大なのは、薪なんです。
 自然エネルギーの利用は、その地域の環境特性を掴んでから計画することです。日照時間が長い、風が長期に亘って吹く、安定した水量の小川が流れている。森林資源が豊富などです。
 この中で、太陽光は年2000時間程度の日照時間が得られる場所なら安定して利用できます。環境省でも適地についてのマップや予想発電量なども公開しています。
風力発電は、いろいろと問題もあります。何しろ風任せ。高地や特定の地域でなければ、安定した風は得られません。風の場合は、いくら電力を得たいといっても住宅地で常に4-5b/secの風が吹いていては、暮らしが成り立ちません。
 風力発電施設を設置するには、何しろ風の通り道でなければただのモニュメントになってしまいます。風があればよいかとすると、前記の点もありやはり住宅地には無理があります。人家のない山岳地とか海岸などが適しているのでしょう。

 今日、我々が設置した様な垂直軸型の回転音もなく、風向きにも左右されない発電機も開発され、利用しやすくなっています。
 ここて゜は、人家のない中山間地に建てる場合を考えてみましょう。まず、どこに建てるかです。やはり、環境省が公開している風況マップでおよその確認ができますが、詳細な地点というと確定するには困難です。そこで、一つは風況調査を1年間行うというのがオーソドックスな方法ですが、時間と経費もかかります。
 一つの方法として、その一帯の地域の地名を詳しく調査してみることです。
 古くからの地名は、地域の環境特性を表していることが多いのです。その中で、風が比較的強いところは、「風張り、風越、嵐山」などと呼ばれています。そのような地域では、風が良く吹くことを示しているとも言えます。因みに我々の設置した地域は、「あらしやま」と呼ばれています。設置するなら最低平均2m/sec以上は欲しいですね。最近は、バードストライクや景観の問題もクローズアップされてきていますので、総合的に考えることです。
 エネルギー密度で水は、風の800倍といわれています。しかも、小川の水量が安定していれば、風力より遙かに利用価値の高い自然エネルギーです。最大の関門は、水利権との調整といわれています。1級河川ともなると、行政、電力会社との調整ハードルは高いです。
 小川でも、水利関係者の理解を得てから始めることです。基本は水を一時お借りして、発電後はまた河川に返すわけですので、地域への影響はほとんど無いことを理解してもらうことです。さらに、発電した電気の一部をその地域で、防犯灯なりで使用できるとずいぶん理解が異なってくるのではないかと思います。歴史を調べれば、昔は全国の小河川に、水車などたくさんの水力利用施設が設置されていた箇所がわかります。そういうところをプロットして、今日的な利用を計画することです。伊那谷は、天龍川に向かって東西両方向から地盤は全て傾斜地なので昔から水力発電には適したところです。温暖化対策等から今後、普及していくと思います。
 最後に、何と言っても全国津々浦々どこでも利用がしやすいのが、薪類です。日本は森林国ですから、やはり歴史に学んで、有効活用しましょう。煮炊きや暖をとるには、もってこいです。
 薪の木は、基本的に切り株から萌芽し成木になりまた切るということで15-20年サイクルで利用できます。
 薪は、同じ重さなら灯油の約半分のエネルギーが供給されます。
ですから、同じカロリーを得るためには、灯油の倍の量を必要とします。
  しかし、太陽光をエネルギーに変換するという点では、石油は1万年以上かかって、生物の死骸が変化したことを考えると、炭酸同化作用等で15-20年で7-8メートルの大きさに育って利用できるわけですから、変換効率からいったら薪に敵うものはないのです。
 薪の利用は、切り出しから薪割りに労力を要するので、チームワークでやるということがポイントです。これができれば、年に何日かの役務も逆に楽しいものです。
 ところで、日本の将来は、薪のエネルギーの利用の仕方に負っているといっても過言でないと思います。煮炊きから冷暖房、照明など全てを電気で賄うなんて、なんと無駄なエネルギーの利用の仕方でしょう。暮らしのあり方として、よく1人ひとりが考えてみることです。 また、発電量の1/3は原発で賄われていることも忘れないで欲しいものです。自分の地域に立地するとなったら皆反対ですから、それらを受け入れている地域のことも慮ってください。
  前述しましたが、家を建てるには、まずは候補地の日当たりや風の向きをなど考慮するということが、省エネや効率の良いエネルギー利用の大前提です。
 南向きの安定斜面(丘)の上に家を建てるなら、南面の地下に少し大きな石積みを施し、石の比熱の大きさを利用し、これを冷暖房に応用するということもできます。旨くやれば、ほとんど化石燃料を使用しないで過ごせるという、このような家の紹介があったことをも思い出します。自然エネルギーの利用の仕方については、現代技術を取り入れる前に、もっと考えるべきことがあります。
6建築素材は近郊地域で調達 地域の資源を利用することが環境にも良く、家が一番長持ちする条件。

材は、ヒノキ、スギ、マツ、クリ、ケヤキなど地元のもので。
 壁は、土壁が一番。
 最近の住宅は、外に柱が見えない大壁づくりの家ばかりです。中にどんなな柱や土台が使用されているか施主にはわかりません。高級な○○ハウスと名を打った住宅を建築したら、日本のヒノキや杉は、ほんの見える一部のみで、壁や床下等の内部は米ツガなどの外材ばかりだったという話を聞きます。下手をすると土台まで外材だったと・・。また、フローリングや家具だって表面の数oのみを無垢材で化粧し中は、木粉を固めたパーティクルボードなんて云う話もあります。壁は、綺麗に見えても合板の上に接着剤を塗りクロス貼りに仕上げるというのが主流を占めています。人生で最大の投資物件、30代から40代で建築し、定年まで20年余のローンをこんな住宅のために組んで良いのでしょうか。1世代で廃棄物と化していく住宅です。今や住宅は工場生産物と化し、能率や組み立てやすさばかりが重んじられるようになりました。でも、他方でこのことが環境や健康ばかりでなく大きな社会問題を引き起こすこととなったのです。
 今日、木の適材適所を判断できる大工さんも少なくなってきています。優れた頭領は、山の木の立っている環境まで考慮に入れ、どこにその材を使用するかまで決めていたのだそうです。日の当たりの良い場所の木なら、家づくりの南向きの場所に使用したのです。
 一般に、土台は最も腐りやすいので、腐食に強い栗が基本です。青森ヒバもすぐれています。これらは手に入りにくいことや値段も張るので、芯持ちのヒノキ材を使用するのがオーソドックスな方法です。米ツガなどではシロアリの格好な餌食になってしまいます。土台や柱は、少なくともヒノキにしてください。我々もずいぶん経験しましたが、造作してみると、ヒノキは如何に良い木かわかります。香しい匂いも良いですが、とにかく材に粘りがある。ヒノキチオールの効用はいろいろなところでお聞きしていると思います
 杉は、その字のごとく、水分を好みますから谷底に近く植える方が良く育ちます。成長も早いですから、ヒノキに比べると柔らかい暖かみのある木です。屋根の野地板はもちろんのこと、内装に多く使用されます。我々のエコハウスでは、1階を全てフローリングにしましたが、丈夫さとや硬さを適度に備えたマツとしました。杉は、冬温かくて良いですが、傷つきやすいという点があります。一方、ケヤキ、ナラ、クリは堅くて丈夫ですが、とても冷たく感じます。そこで゛、中間を取りマツにしました。
 断熱材は、地元生産の新聞古紙のリサイクル製品と麻のものを使用しました。
家の面積で最も大きいのが壁と窓です。壁をどう作るかは室内環境に大きく影響します。
 安普請の壁などは、中に発泡スチロールを埋めそれを合板でサンドイッチにして、その上にクロスなんていうのもあります。
 クロスは、ご存じのように接着剤で貼るわけですが、この接着剤にホルムアルデヒド等が含まれており、これが揮発することによって室内が汚染され、敏感な方がシックハウス症候群に落ちいったりした事例は、あちこちで見聞きしていると思います。
 このプラスチック系のクロスや新建材の内装は、基本的に湿気というものを吸収しませんので、冬なんかに暖房を入れると窓ガラスに水滴が着きます。このことは、夏にも室内が蒸れやすいことを示しています。本州以南は特に湿気が多いため、家を長持ちさせるには、この水分の調節がなされる壁づくりが大切です。
 我々が、エコハウスの壁に全面的に採用したのは、永い歴史のある赤土と漆喰のの壁です。漆喰は、水酸化カルシウムが主成分で安全で丈夫です。時がたつにつれて空気中の二酸化炭素を吸収し炭酸カルシウムへと変化していきます。漆喰は5000年の歴史が有りヨーロッパの白壁もほとんど漆喰です。
 まず、壁にする場所の柱と柱の間に約5センチ四方の方眼となるよう縦横に割った竹を組む、いわゆる竹木舞を編みました。まず、上下左右の柱や梁から約5p程度はなしたところに、軸となる径2pほどの細い竹をその両端を柱に彫り込んで設置します。それに、割った竹を縦横に均等に並べて、麻ひもで結んでいきます。これは、慣れれば中学生でも可能です。
 全ての壁を土日をかけて会員が半年で編み上げました。そして、その次に、刻んだ藁を練り込み1年ほど寝かした赤土を塗ります。最初が荒塗りです。これが乾いたら、再度赤土を塗ります。中塗りです。このとき、土壁がひび割れにくくするため、長いままの藁をすき込みながら壁を仕上げます。最初は素人では、壁に付着する土よりも、下に落とす方が多い状態でしたが、慣れてきてなんとか両面全部の壁が仕上がりました。これが、完全に乾いてから、プロの左官さんに漆喰を塗ってもらい仕上げです。漆喰だけは、平滑に仕上げるのは素人では無理です。10年はやらないと一人前にはなれません。
 でも、竹小舞の編むことから漆喰まで約1年の歳月をかけじっくりと壁を仕上げたので、完成後は、とても快適です。
 冬に、薪ストーブを焚いても、窓ガラスに水滴というものは全く着きません。腰までがヒノキの壁で、その上が漆喰仕上げですが、その調湿作用の効果というものが驚くほどわかります。家が長持ちするわけです。
 漆喰は、世界各地で使用され(例えばスペインの白い建物もそうですね。)約5000年の歴史があります。欧州の建物が長く使用できるのもこの漆喰のお陰です。
 ヒノキの柱とその間に漆喰壁の組み合わせは、環境や健康をまもり、日本の歴史文化や伝統技術も継承されるなど、家づくりを歴史に学んで見直すときです。